犬の学習の方法には以下の3つがあります。
・観察
・レスポンデント条件付け
(古典的条件付け)
・オペラント条件付け
観察
文字通り“見て察する”学習の方法。
自分自身が経験するだけでなく、周りの犬や状況などを観察することで学習することがあります。
例えば、他の犬と遊んだ経験のない子犬は初めはなかなか上手く他の犬と遊べません。
他の犬同士が遊んでいるのを見て「どうやったら遊べるんだろう」と考えていたりします。
また、飼い主の服装や持っているもの、仕草などから「お、ごはんかな?」「やったお散歩だ!」「今日も夜まで帰って来ないのかな?」ということを覚えます。
他には、静かな犬たちに囲まれて生活をしていると初めは吠えていた犬も次第に落ち着きが出てきたり、その逆もあります。
レスポンデント条件付け
元々別のものである2つの刺激が何度も同時に提示されることによって頭の中で2つは同じものだと結び付けられる条件付けです。
意識して考えるのではなく無意識に体が反応してしまう。
「パブロフの犬」の話が有名です。
例えば、梅干しを見ると自然と唾液が出てきます。
これは「梅干し=すっぱい」の条件付けによって反射的に起こります。
犬のしつけでは、“クリッカー”や“トイレトレーニング”に用いられます。
オペラント条件付け
犬のしつけにおいて(犬に限りませんが)ルール作りをする上で基本となる学習理論です。
行動の前後で何かしらの変化が起こる場合、起こる変化によって行動の頻度が増えたり減ったりするというもの。
結果が都合が良い変化であれば強化(行動の増加)され、結果が都合が悪い変化であれば弱化(行動の減少)します。
起こる変化には以下の4パターンが存在します。
※好子(コウシ):犬が好きなもの
嫌子(ケンシ):犬が嫌いなもの
< 好子出現 >
“良いものが現れる”パターン
犬にとって都合が良い変化なので
行動は強化する
< 好子消失 >
“良いものが無くなる”パターン
犬にとって都合が悪い変化なので
行動は弱化する
< 嫌子出現 >
“嫌なものが現れる”パターン
犬にとって都合が悪い変化なので
行動は弱化する
< 嫌子消失 >
“嫌なものが無くなる”パターン
犬にとって都合が良い変化なので
行動は強化する
上記を意識して
飼い主にとって都合が良い行動は強化し、都合が悪い行動は弱化させるようなルールを作っていきましょう。
つまり、犬の行動に対して“何か”を出したり無くしたりして行動をコントロールしていきます。
ここで気を付けたいのは“何か”そのものに「良い」「悪い」がある訳ではないということです。
“犬にとって”都合が良いか悪いか、ということが重要であり、それは犬によって個体差があります。
例えば、撫でられることは多くの犬にとって喜ぶ行為だが中には撫でられるのを嫌う犬もいます。
さらにいえば、大きな音は恐がる犬が多いですが時に全然へいちゃらで喜ぶ犬もいます。
よって、その犬が何が好きで何が嫌いかという事を考えた上でそれらの変化を起こしていかなければいけません。
少なくとも本に書いてあったからマズルを掴めばいいという話ではないのです。
・・・いかがだったでしょうか。
ドッグトレーナーは実はこういう事を常に考えています。
考え方自体はシンプルで難しいものではないので、ぜひ飼い主の皆さんにも覚えてほしいと思います。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
それでは、また!