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犬と対等になれない理由 ~アルファシンドローム~

 

今回は「犬と対等になれない理由」についてお話したいと思います。

この十数年で人にとっての犬の在り方というものがずいぶんと変わったと思います。
犬は家族の一員として受け入れられ、最近では外で犬を飼うお家の方が少なくなってきました。

犬を家族のように愛し大切にすることは素晴らしいことですし嬉しく思います。
一方で犬を過度に擬人化してしまうことで起こる問題行動が以前より多く見られるようになりました。

飼い主様の中には“犬と自分の間に上下関係はない”という考えから出来るだけ愛犬の自由にさせてあげたいと思われる方がいらっしゃいます。
一見、動物愛護の精神で素晴らしい考えのように思えますが果たして正しいでしょうか。

もちろん正しいかどうかは僕が決められるものではありません。
しかし、現実問題として“犬と対等な関係”というのは不自然かつ在り得ない状況です。

その理由については犬の本能について理解する必要があります。
これには、「権勢本能」「服従本能」というものが関わっています。

権勢本能

群れの中で他の者が自分に対し常に従属的な行動を取る場合、
自分は上に立ち、群れを率いろうとする本能

服従本能

指導力のある頼れるリーダーがいる場合、
自分は大人しくその者に従おうとする本能

 

この2つの本能により群れの中で順列が生まれ、指揮系統ができることにより群れがひとつにまとまることが出来ると言われています。
(実際には群れの順位というよりは1対1の上下関係の集まりで“AはBより強くCよりも弱いがBはCよりも強い”というようなこともあるようです。)

考えてみれば野生の犬の群れがいたとしてみんながやりたい放題では生存していけません。
「オレは北に行きたい」「ワタシは南に行くわ」「ボクは西に行こうと思うんだ」・・・
バラバラになってしまいます。“誰についていくか”ということを決めなければいけません。

では、家族を群れに置き換えて考えた場合どうなるでしょうか。
何でも犬の好きにさせてあげたい飼い主は“常に従属的な態度”を取っていることになります。

すると権勢本能が刺激され犬は群れを率いろうと頑張るようになります。
結果家族に対して犬が指示を出すようになり自己主張が強くなります。
(犬:あれをしろ!、これをしろ!、それはするな!、ちがうだろ!・・・)

中には飼い主にとって都合の悪い行動もありますが飼い主は犬に指示を出せる立場にありません。
(犬:なんでお前がオレに命令してるんだよ!)
上下関係のない関係は犬にとってはストレスなのです。

この状況を“権勢症候群(アルファシンドローム)”と呼びます。
権勢本能が強化されたことによって起こる症状の総称という意味ですね。
難しく聞こえるかもしれませんが簡単に言うと
「家庭内で犬がリーダーになってしまって自己主張が強くなったことによって起こる問題の数々」
といったところでしょうか。

これが僕が“犬とは対等な関係にはなれない”と考える理由です。
犬にいう事を聞いて欲しいと思うのであれば指示を出すことが出来る関係を作らなければいけません。

もちろん「犬が吠えたり咬んだりしてもいいから犬の好きにさせてあげたい!」というのであればそれも間違いではないと思います。
しかし、「全部好きにさせてあげたいけど問題行動は取って欲しくない」ということは通用しません。

犬は人に従うために生まれてくるわけではありません。
犬が飼い主のいう事を聞くのは当たり前ではないのです。
飼い主と犬との関係性は日頃の生活の中で築かれていきます。

ぜひ頼れるリーダーになって犬を安心させてあげてください。
犬はあなたのいう事を喜んで聞くようになるはずです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
それでは、また!

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